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よくある質問集
 
破傷風
 

破傷風とは、傷口から破傷風菌に感染することによって起こる細菌性の感染症です。感染すると、体中に毒がまわり、全身が痙攣して呼吸困難に陥り、80〜90%の確率で窒息死するという恐ろしい病気です。破傷風菌は細菌の一種ですが、これが非常に強い毒素を生成し、傷口付近の末端神経から侵入して脊髄の細胞へ移り、やがて脳へと達して組織を破壊します。

破傷風菌は、動物や人から感染するのではなく、土の中なら50%の確率でどこにでも潜んでいます。子供だけが感染するというわけではなく、成人でもかかります(実際、発症率が最も高いのは、免疫力の低下した60歳以上の高齢者です)。通常は、傷口をしっかり洗って消毒していれば、そのうち出血した部位も再生されて、感染することはないのですが、体力が低下している時やストレスがたまっている時などは、抵抗力が弱っていて白血球の働きが鈍くなるので、体内に侵入してくる細菌を完全に退治できず、不運にも破傷風になってしまうことがあります。

 
破傷風に感染したら?
 

この病気の恐ろしいのは、全身症状があらわれて感染したことに気づいてからでは、ほとんどの場合、すでに手遅れだという点です。潜伏期間は1〜2週間で、口が開けにくい、口がひきつる、味がわからない、首や肩がひきつるなどの初期症状が現れます。やがて毒素が中枢神経に到達すると、全身の筋肉がけいれんを起こし、横隔膜や呼吸筋の機能も破壊されて呼吸ができなくなります。私自身も、川崎市立病院時代、12歳の女子が破傷風で緊急入院し、つきっきりで治療にあたり、救命した経験があります。

破傷風菌は酸素に触れると弱いので、無酸素状態となっている傷の奥深くで繁殖します。従って、ケガをしてしまったら、傷口をできるだけ大きく開いて中までしっかり洗浄、消毒しましょう。感染が疑われる場合には、できるだけ早く病院で適切な処置を受けてください。万が一、感染してしまった場合は、抗毒素血清や抗生物質を使って、毒素を中和する処置が行われます。

 
予防接種の効果
 

以上でおわかりいただける通り、この病気は治療が極めて困難であり、予防接種で感染を防ぐことがとても大切です。幸い、ワクチンの効果は絶大ですので、定められた時期、回数できちんと接種していれば、感染する心配はまずありません。また、ワクチンの副作用もほとんどありません。破傷風のワクチンには、トキソイドと呼ばれる無毒化された破傷風毒が入っています。毒に対する抗体を作ることで、中枢神経への到達を防ぐことができます。

 
予防接種の回数と時期
 

乳幼児期に受ける3種混合ワクチンには、ジフテリア、破傷風、百日咳(DTP)に対する免疫が入っています。これを3回受けてさらに追加で1回受け(T期は生後3ヶ月〜1歳までに3回、1年〜1年6ヶ月後で追加接種を1回)、さらに小学校6年生(11〜13歳未満)の時に追加で1回接種します(U期は二種混合ワクチン(DT:ジフテリア・破傷風)を1回接種)。

ところで、あまり知られていませんが、ワクチンの効果は10年くらいの間しかなく、最後の追加接種(12歳)から10年後の20歳を過ぎると、免疫力が急激に低下します。子供のころに受けておけば一生大丈夫というわけではないので、10年毎に追加接種を続けていけば、ワクチン効果を永続していけます。土木作業や建築現場で働く人、農業、ガーデニングが好きな人、アウトドア志向の人は、成人になってからも定期的に追加接種することをお勧めします。